photo credit:Arlo Bates
積水ハウスやダイワハウスなどは高級住宅を扱っているというイメージを持っている人がいますが、意外にもそこそこの低価格住宅も手掛けてはいるのですね。
しかし、圧倒的な低価格商品はローコスト住宅メーカーが強くなってきているのが現状ではないでしょうか?
大手ハウスメーカーにしてみたら、太刀打ちできない超低価格住宅から撤退していくのが賢い選択に見えるでしょうけども・・・
そうすると、積水ハウスやダイワハウスのような大手ハウスメーカーは、最終的には倒産することになってしまいます。
どうしてかわかりますか?
どの企業も収益性が高く儲かる部分に集中したくなるもの
どんな業種でも同じだと思いますが、住宅産業の市場にはランクがあります。
ハウスメーカーの最下層に位置するのは、低価格住宅を手掛けるローコスト住宅メーカーですね。
低価格住宅は採算さえ赤字にならなければ、どんなハウスメーカーでも建てることができます。
これとは逆に、高級住宅というものはブランドイメージを伴う商品となりますので難しく・・・
仮に建てることはできるとしても、どんなハウスメーカーでも簡単に販売できるという商品ではありません。
高級住宅メーカーは最上位に位置するものとなります。
低価格住宅は、そこそこの品質でも売れてしまうものですのでローコスト住宅メーカーはどんどんと希望を拡大していくことになるのです。
一般的には、大手ハウスメーカーはこのようなローコスト住宅メーカーの進出を嫌がるものかと思いますが・・・
意外にも「低採算の安物住宅から撤退できてよかった」と考えているものです。
どうして喜ぶのかと言えば・・・
「低価格住宅は過当競争が続いているので、収益性が低い安い住宅を建てるよりも、利幅が大きい中級&高級住宅に経営を集中した方が儲かる。」と考えるからですね。
こうして、ローコスト住宅メーカーは年間棟数を増やして規模が拡大していき・・・
大手ハウスメーカーは収益性が低い低価格住宅から撤退できますので、会社の収益性は伸びていくのです。
ローコスト住宅メーカー同士でも過当競争が始まる
ローコスト住宅メーカーがうまく行っているのを見て、他の企業も低価格住宅に参入してくることは簡単に予想できることですよね。
宣伝手法などもマネてきますので、既存のローコスト住宅メーカーはさらなる過当競争にさらされることになります。
以前は高価格のハウスメーカーとの競争でしたので、低価格市場で勝ち残るのは簡単でしたが・・・
今回はハイコスト企業が撤退してしまった後ですから、ローコスト戦略は成り立たなくなります。
つまり、ローコスト住宅メーカー同士が競い合わなくてはならなくなるのです。
既存のローコスト住宅メーカーは中位の市場を見ることになる
新規で低価格住宅に参入してくる企業が増えてくると・・・
既存のローコスト住宅メーカーはどうするかというと・・・
低価格住宅を諦めて、「少し高級な路線」にシフトする事を考えます。
低価格住宅では収益が出にくくなったことによって、上位の市場が収益性の高い市場だと思えるのです。
そうなると今度は、大手ハウスメーカーは「少し高級な商品」で苦戦するようになってきます。
しばらくは辛い戦いを続けることになりますが、過当競争を嫌って最終的には収益性の高い高級住宅に経営資源を集中させるようになるのです。
この時もやはり、ローコスト住宅メーカーの進出を嫌がるどころか喜ぶようになっていると思われます。
なぜなら、収益性の低いお荷物市場から足を洗うことができるからなんですね。
こうやって同じことが繰り返されることになるのですね。
どうしてこのような事が繰り返されるのか?
大手ハウスメーカーが次々と高級住宅へシフトしていくことは、誰にもバカにされる事ではありません。
このような企業は毎年の成長を期待されますので、そのために収益性の低い低価格住宅を扱うのは合理的ではないと判断されるからなんですね。
家電業界でも同じ減少が起きていますよね!
東芝やパナソニックは、昔はラジオや扇風機などの低価格家電も作っていたのです。
しかし、大企業になるにつれて・・・
収益性の低い商品は作らなくなって、収益性の高い大型家電やIT機器ばかりを作るようになっていきましたものね。
ある時から、お客は低価格な方へシフトしていく
大手ハウスメーカーはどんどんと高級な住宅へ路線を移していきますが・・・
商品ラインナップがあまりにも高級な物ばかりになると、それを求める顧客はごく僅かしかいなくなってしまうものです。
その一方で、ローコスト住宅メーカーが手掛ける低価格住宅も改良が進み、品質も高くなっていきます。
そしてある時を境に、顧客は中級&高級住宅から低価格住宅に目が行くようになる事態が発生します。
特に、シンプルな住宅が好まれるようになる時代にはこのような事態が顕著になります。
この流れこそが、大企業が滅びる時に発生する事なのですね。
これは自動車業界にも起こっている事態でもあります。
昔は高級車にしか付いていなかったスマートキーやオートライトやHIDヘッドランプなどの高付加価値オプションが・・・
今では軽四にも付いてくる時代です。
また、軽四でもすごく広く感じる室内になっていますし、後部スライドドアが電動だったりするのですから・・・
改良されて品質の上がった軽四で十分だと判断したユーザーは、しばらくは高級車などは購入しないようになりますね。
大企業の優れた経営者ほど、この悪循環に陥る理由
多かれ少なかれ、どこの企業もこのような経緯をたどった末に経営悪化に陥ってしまうものです。
それではどうしてこのような事になってしまうのでしょうか?
1つの理由としては・・・
経営者の成功を計る物差しに「利益率」を重視する傾向が強いことが考えられます。
つまり、「ある一定の投資からどのくらいの利率で利益を産み出すことができるのか」という事を重視しすぎるのです。
本来は、その企業(ハウスメーカー)が産み出す利益の総額を重視しておけば、上記のような悪循環にはなかなか陥らないものなのですね。
つまり、売上高を重視していればってことです。
しかし、優秀な経営者ほど売上高を上げることを毛嫌いして利益率を上げることに一生懸命になる傾向が強くなるのです。
こうして採算性の低い部門を切り売りしたり、リストラしたりする経営者がもてはやされるという傾向が強くなるのです。
まとめ
よく考えてみれば・・・最強と呼ばれるトヨタ自動車は、低価格車から高級車までまんべんなく作っていますよね?
一昔前の大手家電企業は、白物家電を放置してパソコンやAV家電には注力した結果・・・現在、苦境に立たされています。
このような例で考えると、一時的に利益が出そうな商品にシフトしていく経営というのはスマートでカッコいいように見えてしまいますが・・・
実は、低い利益率の商品でも続けることによって新規参入を防ぐという意味合いが強いということなのでしょう。
もし、積水ハウスやダイワハウスが低価格住宅を手掛けていれば・・・
タマホームやレオハウスがこれほどの大躍進をする事は無かったのかもしれないですね。